2008年5月31日土曜日

テトリスと経営

最近、高専時代を懐かしむことが多く
ふとしたきっかけで、とある友人の日記をさかのぼってみた

高専時代に切磋琢磨したその友人の日記の中に
こんなおもしろい話があった(勝手に掲載してごめんね > 本人)

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1つだけ、ここに書ける面白い話が、俺とすえの思考パターンの違いをテトリスに例えた話。先生曰く

すえ→1段ずつ綺麗に消していく。途中に変な穴ができることはゆるさない。
俺→常に4段消しを狙っていく。多少変な穴が出来ても、長い棒をいれて一気に状況を改善してしまう。
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うーん、これ最初に読んだときも納得したけど
あらためて読んでも、非常に的を射た表現だ

高専在学中も、大学に編入学しても、会社を立ち上げてからも
この思考パターンだけはまったく変わってない気がする

もう少し、2段消し・3段消しを覚えて
効率よく仕事こなせるようにならないとね…

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会社はじめてから思うのは
経営者ってこれが両方できないといけない、ということ

1段ずつ綺麗に消していくのは
リスクは低いが、大きくあたることはないし

4段消しばかり狙っていると
なかなか長い棒が来なかったりする

多少変な穴ができても、それを覚悟で4段消しを狙うことも必要だし
長い棒が来ない(市場に好機がない)と判断した時点で2段・3段くらい消してしまうという判断も必要

経営って大変だなー

2008年5月27日火曜日

エンジニアリングとサイエンス

漠然とした問題意識が、具体的な現状把握に繋がった気がする
ずっと考えてきたことの答えに、少しだけ近づいた気がする

中卒のオレが学歴について語ってみる


上記リンクはアルファブロガーの小飼弾氏のブログエントリである

僕が、このエントリで“なくしたい”と
書いた壁のひとつに、「ビジネスとサイエンスの壁」がある

技術的にはすばらしい研究成果が、
エンジニアや経営者に受け入れられず
ビジネスとしての利益に繋がらない例はたくさんある
僕はそれをいつか解消したいと思っている

ただ、
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ソフトウェアエンジニアというものはありません。
少なくともまだないです。どういうことかというと、
これ以上削れないところまで削るのがエンジニアリング。
これ以上削れないところまで削るということは、
どこまで削るとそれが壊れてしまうかというのが
わかっていることです。
まだソフトウェアに関しては我々はそのレベルには
達してないんです。
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確かにそうだ。
ここでは簡単のため、
ビジネスとエンジニアリングを同義(※1)だとすると
少なくともソフトウェアの世界では、
壁があるのではなく、片方の概念自体が存在しないのだ。

ビジネス(エンジニアリング)とサイエンスは、
片方が進歩すれば、もう片方がそれに追いつく形で進歩する、
いわば車の両輪のように進んでいくのが理想であるが、
片方の車輪が異常な回転数で回っていたら、
うまく進まない(※2)のは当然といえる

(※1)
“ビジネス”のほうが広義で、“エンジニアリング”は
リソースのひとつと捉えるのが普通。

(※2)
厳密には進んでいるのだろうけど、
一見するとそうは感じられない。

次々に世に出されるソフトウェアサービスと比較すると
小難しい数学的な理論や言語理論の進展は遅い。
というか、ほぼないと言ってもいい。
#ハードウェアの進歩は、いまだにムーアの法則に則っているが。。

でも、大学ではそういう小難しい理論しか学べない。
世の中の動向が早すぎるために、
それを体系化してカリキュラムに組み込むには
大学という組織では無理があるのだ
学生も4年間(あるいは6年間)がんばって勉強しても、
卒業する頃にはまったく違った環境の中に
身をおかなければいけない。

大学では
デバッグのやり方やテストのやり方を教えてくれないし
プロジェクトの進め方やチームでの開発なども経験できない
設計に関しても、極めて理論的な話には触れるが、
それを実践することはない
業務で扱うような数千行~数万行のコーディングをする経験もできず、せいぜい数百行のサンプルプログラムしか書かないから
“仕事でソフトウェアを扱う”というイメージがわかない

これを是正するためには、
サイエンスの領域に、
エンジニアリングの最新動向を取り入れるしかないような気がする
ソフトウェア業界の成長を止めろといっても無理だし、
そうすることにメリットがない
“ソフトウェアエンジニアリング”が体系化されるのは、
ずいぶん先だろうから、それを待つわけにもいかない

エンジニアリング側の車輪の回転数が大きすぎるのならば
サイエンス側の車輪も同じ回転数で回せばいい
そうすれば、両者間の乖離はなくなるのではないか

大学に戻って、研究をする上、目標とすることが今決まった

2008年5月20日火曜日

パラダイムシフト

先週末、以前所属していたビジネスコンテスト運営団体KINGの
母団体WAAVの新歓合宿に参加してきた

後輩たちもこのブログをよく読んでいるらしいので
ブログのネタにするのはやや気がひけるが、
胸に残るものがあったので、書き留めておくことにする

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KING2007が終わってもうずいぶんと時が経つ
以前、こんなブログも書いた

でも、まだまだやり残したことはある
たくさんの愛情と、ほんの少しの未練
それらは確かにそこに存在する

僕がKINGの実行委員として活動する上で掲げた目標は
おそらく、それまでのどの先輩とも違う価値観に基づいていて
ある意味、“KINGらしさ”というものがなく
そして、到底1年で実現できるものでもなかった

だからこそ
1年間、たくさんの愛情を注いでも足りず、
できるだけのことをやっても未練が残る

こうなることは
活動内容の充実度や
僕自身の努力とは関係なく
僕がビジョンを掲げたその瞬間に決まっていたのかも知れない

そんな僕にとって、
新歓合宿というコンテンツの影響は非常に大きいものだった

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合宿中、2人の後輩が僕の前で涙を見せた

1人はKINGに出会えたことによるうれしさ、
そして、もう1人はある種のくやしさによるものだった

その涙を見て、僕は考えさせられた

後輩が流したうれし涙は
僕の成果だと言えるだろうか?
その後輩に対して、本当に愛情を注いであげられただろうか?
一人一人とちゃんと向き合って、成長をサポートしてあげるための
覚悟が、当時の僕に本当にあったのか?

後輩が流したくやし涙は
僕の責任ではないだろうか?
僕の過剰な愛情と、過剰な干渉が
後輩たちが本来得るべき充実感と達成感を奪ったのではないか?

そう考えると、どうしても責任を感じるし
掲げたビジョン自体の正当性を疑わざるをえない


でも

後輩たちは
「末並さん、ありがとうございました」と言ってくれた
「僕(私)が、KINGを次に伝えます」と言ってくれた

素直にうれしかった

1年半ほど前、
僕がビジョンを掲げ、他の実行委員の前でそれを伝えたとき、

賛同できないという雰囲気だった
反対すらされた
先輩たちにも「珍しい」「変わってる」と言われた
「お前は本当にそれで満足なの?」とも問われた

でも、僕にとっては、それが真実だったし
他にどんな妥協をしても、それだけは曲げたくなかった
そして、1年間、それだけは貫いた

それが、今、ようやく実を結んだ
確かに、これは小さな小さな一歩に過ぎないだろう
これが達成だなんて思っていない

でも、少なくともこの2人の後輩には僕の想いが伝わったんだ
“KINGらしさ”のなかったビジョンが、はじめて受け入れられた

パラダイムシフト

必ずしもいいことばかりではない
弊害もたくさんあるし、それは徐々に顕在化していくだろう

でも、
このパラダイムの変化が、5年後、10年後のKINGのためになるように
まだ見ぬ次世代のKING実行委員にも受け継がれていくように
これからもがんばっていこう

そう思わされた合宿だった

2008年5月12日月曜日

相川さんと渡辺さん

人材事業をやっていると、
どんな人にどんな職業が向いているか
を考えることが多い。

もちろん、最終的には本人のやる気次第なのだが、
それでも性格による向き不向きはあるものだ。

たとえば、コンサルタント。
某外資系コンサルティングファームで
マネージャだかシニアマネージャだかまで経験した人の話によると
コンサルタント、特に戦略系に求められるのは、
自分なりの仮説をすばやく構築する能力
であるとのこと。

就職面接でありそうなこんな質問。
「MicrosoftがYahoo買収から手を引いたことについて
 どう思いますか?」
「あなたがMicrosoftのCEOなら同じことをしましたか?」






















10秒以内に回答できた人はコンサルに向いている可能性が高い。

逆に、時間をかけた挙句、ありきたりな回答しかできなかったり、
簡単に「わかりません」と言うような人は
限られた情報から仮設を構築する能力が乏しいと言える。

#残念ながら、僕は後者です。泣

例の質問には、そもそも正しい答えなどないのだから、
マスコミがとりあげている表層的で
限られた情報をどのように分類・整理し、
自分なりの仮説を構築できるかが重要というわけだ。


では、僕が現在仕事としているエンジニアはどうだろう。
こちらはまったく逆で、思慮深く、
考察に考察に重ねて発言する人が望ましい
らしい。

業務システムで扱う情報は
その企業の機密情報である場合が多く、
コンシューマ向けのサービスでは
会員の個人情報を管理しなければいけないため
あらゆるセキュリティリスクに対して気を配らなければならない。

また、ITエンジニアに限らなければ、人命を左右することさえある。
#設計ミスで、自動車の車輪が
#走行中にはずれる事態を想像してもらいたい。

このように、あらゆる事態に気を配らなければいけないエンジニアは
不完全な情報の中で不確実な回答をしてはいけないのである

“仮説”とは、
コンサルタントにとっては、
ゴールに近づくための強力なツールであるが
エンジニアにとっては、
他に配慮しなければいけない部分を
見えにくくする不完全情報
でしかない。



それとは別で、次のような話がある。
以下は、DeNA南場社長のブログからの抜粋である。
http://ameblo.jp/nambadena/entry-10069026980.html

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 アイカワとかアイザワとか。五十音順でもアルファベットでも
 最前列の彼ら彼女らは、常に何事も最初にあてられる。十分に
 思案する時間などなく、突然身に降りかかった難題、それは
 自己紹介だったり質問への回答だったり、運動や作業だったり、
 ありとあらゆる類のものだが、それらを全員の注目を浴びながら、
 圧倒的な準備不足の中、なんとかまともに切り抜けて来た連中だ。
 そして次の難題がいつ降りかかってくるのか、常にその
 プレッシャーと戦いながらまともな大人になって来た。
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 ワタナベが悪いわけではない。もうヤ行とかワ行になると、すべて
 前に言われていて、よほど変わったことを言ったりしたりしないと
 目立たないという宿命の中、必死で自己主張して来たわけだ。
 彼らにはひと工夫のクセがついてる。
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僕は占いや科学的な根拠のない相性診断などは信じないのだが
これには結構納得させられた。
僕のまわりでも、
出席番号の早い人は、積極的に発言するタイプが比較的多く
出席番号の遅い人は、じっくり考えてから発言するタイプが多い


先ほどの話も踏まえると
コンサルタントは、あ行やか行の人が向いていて
エンジニアは、や行やわ行の人が向いていることになる

根拠薄弱な理屈であることは明らかだが
少なくとも僕のまわりを見る限りでは、
あながち間違っているわけでもない気がする

自分のキャリアに迷っている人がいたら
ひとつの基準としてどうですか?

#僕はさ行で始まる名前を持ちながら、かなり思慮深いタイプです
#根拠のない理屈嫌いだし、ブレストとか苦手だし。
#エンジニアでよかった。